向けられたその鋭い目線を、俺は折り曲げて返した。
市民活動センターに祖母と行ってきた。
そこでお祭りがあって、なんか母がやってる活動のワークショップをやるらしく、それの冷やかしに行った。
ワークショップは10分くらいで終わった。まあ何回もやったことある内容なのでそんなに時間はかからなかった。結果もまあ、いつも通り。
他の活動団体の出展も見てみる。色々ある。ほとんどがいきいき老人!みたいなので、内容もバザーみたいな感じだった。
一つだけNPO法人のバザーがあった。2年前からNPOとしてフリースクールをやっている団体で、今日は店番としてそこに通う不登校の子達がワイワイやっていた。
活動内容を聞いて、なんか、いいなーって思った。2年前にできたばっかりだからまあしょうがないけど、わたしも中学の頃は不登校だったし、こういうのがあったらまた違った人生だったのかなーとか思った。
店を見ていると鋭い目線がこちらに刺さる。下を向くと小学校3年か2年くらいの子供がこちらを見ていた。
その子は、まあ、なんというか、言っちゃなんだが似合わない茶髪で、ヘッドホンを首からかけて太っといアイラインを引いた浅黒い肌の女の子だった。
なぜわたしにそんな目を向ける?というくらい鋭い目だった。なにかこちらに敵意があるのか。なんなのか。答えは分からない。が、髪を染めているくらいなのでその子がオシャレが大好きなのはわかる。
だとしたら、今日のわたしの出で立ちに文句があるのか?今日のわたしは昨日買ったサンダーボックスのラグラン7分袖シャツ(我慢できず着た)にランドリーのジーンズ、プーマのTR-808モデルスニーカー、通販で買った本革三連ベルトブレスという感じの格好だった。
ここからはネガティブな考察と、ポジティブな考察をしていってみよう。
【ネガティブ】わたしの格好がシンプルすぎてダサく見えた。変な丈のラグランシャツにジーンズがその子的にありえなかった。なので早く視界から消えて欲しかった。
【ポジティブ】わたしの格好があまりにも都会的すぎた。地元じゃ見ない組み合わせとデザインとブランドだったので妬いてしまった。悔しくてキレてしまった。
...まあどちらにせよ、君にはこのスタイルは早かったかなと言わざるを得ない。じっと見られたその目線を屈折させるかのようにわたしもその子に目線を返した。少女よ。いろんな服を見て、いろんな失敗オシャレをして、笑われて、成長しなさい。そして本当の自分のオシャレを見つけなさい...
という感じで、勝手に脳内で少女を導いたわたしであった。おわり。