ポエムのある午後

ヘトヘトで家に帰ってきた。

 

学校のイベントに参加して元気にビラ配って打ち上げ参加して、喧騒の中から静寂の我が家へ。家が落ち着くのは静かであるからだと思う。一人でいれることが確定しているからこそ、ここが一番だと思えるのだと思う。

 

暖かい風呂に入って、スキンケアをして、ブログを書くために机に向かう。足元の暖房のスイッチをつけて水を一口。

 

詩が読みてぇ。

 

詩である。ポエム。ポエジィ。ポエット。ポエトリー。とにかく、詩が読みたくなった。

 

うちにある詩集は3冊。ボードレール中原中也、マル(ホンダレディ)。まあ、最後の1つは歌詞集だが、これも立派な詩集だと思っている。

 

いちばんのお気に入りは中原中也

 

とりわけ気に入っている詩は『別離』。青空文庫に全文あったので引用させていただく。

さよなら、さよなら!
  いろいろお世話になりました
  いろいろお世話になりましたねえ
  いろいろお世話になりました

さよなら、さよなら!
  こんなに良いお天気の日に
  お別れしてゆくのかと思ふとほんとに辛い
  こんなに良いお天気の日に

さよなら、さよなら!
  僕、午睡ひるねの夢から覚めてみると
  みなさん家をけておいでだつた
  あの時を妙に思ひ出します

さよなら、さよなら!
  そして明日あしたの今頃は
  長の年月見馴れてる
  故郷の土をば見てゐるのです

さよなら、さよなら!
  あなたはそんなにパラソルを振る
  僕にはあんまりまぶしいのです
  あなたはそんなにパラソルを振る

さよなら、さよなら!
さよなら、さよなら!


 僕、午睡から覚めてみると、
みなさん、家を空けてをられた
 あの時を、妙に、思ひ出します

 日向ぼつこをしながらに、
つめ摘んだ時のことも思ひ出します、
 みんな、みんな、思ひ出します

芝庭のことも、思ひ出します
 薄い陽の、物音のない昼下り
あの日、栗を食べたことも、思ひ出します

干された飯櫃おひつがよく乾き
裏山に、烏が呑気に啼いてゐた
あゝ、あのときのこと、あのときのこと……

 僕はなんでも思ひ出します
僕はなんでも思ひ出します
  でも、わけて思ひ出すことは
わけても思ひ出すことは……
――いいえ、もうもう云へません
決して、それは、云はないでせう


忘れがたない、にじと花
  忘れがたない、虹と花
  虹と花、虹と花
どこにまぎれてゆくのやら
  どこにまぎれてゆくのやら
  (そんなこと、考へるの馬鹿)
その手、そのくち、そのくちびるの、
  いつかは、消えてゆくでせう
  (みぞれとおんなじことですよ)
あなたは下を、向いてゐる
  向いてゐる、向いてゐる
  さも殊勝らしく向いてゐる
いいえ、かういつたからといつて
  なにも、おこつてゐるわけではないのです、
  怒つてゐるわけではないのです

忘れがたない虹と花、
  虹と花、虹と花、
  (霙とおんなじことですよ)


 何か、僕に、食べさして下さい。
何か、僕に、食べさして下さい。
  きんとんでもよい、何でもよい、
  何か、僕に食べさして下さい!

いいえ、これは、僕の無理だ、
    こんなに、野道を歩いてゐながら
    野道に、食物たべもの、ありはしない。
    ありません、ありはしません!


向ふに、水車が、見えてゐます、
  こけむした、小屋の傍、
ではもう、此処からお帰りなさい、お帰りなさい
  僕は一人で、行けます、行けます、
僕は、何を云つてるのでせう
  いいえ、僕とて文明人らしく
もつと、ほかの話も、すれば出来た
  いいえ、やつぱり、出来ません出来ません。

美しい。勝手な解釈になるが、一人の男が故郷のことを思い出し、美しいものを思い出し、少ないくない後悔とともに死にゆく様のようで、永遠の白昼夢的な世界観がわたしにドンピシャだった。

 

似たような世界観の歌詞がある。ホンダレディオルタネイティヴ・ブルー。

歌詞はここから見てください。

 

美しい。全てを語らないふわりとした詩。空を泳ぐふたりの人間が見える。

 

どちらも詩を見た時、なんて美しいんだ、とえらく感動したのを覚えている。

 

 

気に入った詩をすぐに見れるように付箋でマーキングしている。これが増えるとかなり嬉しい。

 

この先付箋が増えたらまた嬉しい。